ジークンドーのルーツ

The Roots & Structure Of J.K.D ジークンドーのルーツと基礎構造 

 The Roots Of Jeet Kune Do <ジークンドーのルーツ>

ジークンドーを学び修得していく上で、一番重要となるのが、師祖が努力を積み重ねて研究したジークンドーのルーツおよびそこから開発された基礎構造と基本です。

これをビルに例えれば、鉄骨の柱を組んでいく前の段階、つまり土台造りです。

しかも相当頑丈な土台を造り上げなければ、その上に建つ高いビルは、ちょっとした衝撃に脆くも崩れ去ってしまいます。
以下に示す項目は
師祖自らが「ジークンドーのルーツ」と呼んでいたもので、これらは全てのジークンドーの表現のための土台およびその材料となるものです。

1.肉体的な要素

1)オン・ガード・ポジション(バイ・ジョン・スタンス:攻防が融合した構え)
2)フットワークと機動力(シンプル&ダイレクトとフットワーク・スピードおよびセンター・グラヴィティの関係)
3)力(エネルギー)を伝達させるための姿勢/状態(エネルギー・ラインとパワー・ラインの形成)

2.基礎的な要因
1)バランス
(正中軸と重力およびボディー・フィールの関係)
2)形態の経済性および動作の経済性
(シンプル&ダイレクトとエコノミー・フォームおよびエコノミー・モーションの関係)
3)運用されている力(エネルギー)と解放されているスピードにおける直感的な自己表現
(エクスプロージョンとメンタル・スピードの関係)
4)本質の一貫性における自然で静かな知覚
(高レベルなアウェアネスとスピリチュアリティ、およびパーセプチュアル・スピードとの関係)
5)構造の全体性と意識の全体性
(ストラクチャーとスピリチュアリティおよびボディー・フィールとの関係/陰陽の理論)
6)効率のよいしくみ
(ボディ・メカニックと効率から導き出される重要な要因)
7)敵のリズムに対する我のリズムの調節能力および敵のリズムを妨害する能力
(適応するリズムとブロークン・リズムの関係)
8)調和のとれたユニット(一個人/一団)を伴うことでわき起こる強烈で優勢的なオーラ
(精神のコントロールと意識エネルギーの関係)
9)調和のとれたユニット(一個人/一団)に対することでわき起こる強烈で優勢的なオーラ
(精神のコントロールと意識エネルギーの関係)
10)非公的、非大衆的
(ノン・クラシカルと科学的リサーチの関係)
11)誠実、真実と正直
(心と態度および高い精神性)
12)根本からの機能
(無限/無法と有限/有法の関係)

 ジークンドーにおいてルーツを理解し、強力な基礎構造を入門/初期段階から徐々に構築していくことは、最重要課題となるのです。しかし、ルーツと基礎構造を理解し、基本を修得していくには、たとえ初級者の段階に到ろうとしても相当な努力と年月がかかるでしょう。なぜなら、ジークンドーのこれは他の流儀と比べて、非常に稀で高等であり、特殊な構造をもっているからなのです。一番最初から習うことまでも修得困難なのがジークンドーです。だからといって、これをとばして攻防技術修得や戦略法を学んでも、実戦では何の役にも立ちませんし、上級者レベルに到れるはずもありません。
師祖は、ジークンドーを創り上げる際、フェンシングとボクシングの原理を研究し、そこからインスピレーションを得て、科学的かつ哲学的な原理/原則の元で独自の開発を行っていきました。ですからこの基礎構造と基本もそれらの元で開発されています。それは、「人間が持つ身体のすべてを実戦の中で使用するためには、一番効果的となる方法も含めてベストとなる方法とはどの様なものになるのか」という考察です。そしてこれは天才が一切の妥協を許さず、独自で長年研究し努力を積み重ね、かつ実戦的な実験を繰り返し、創始したものなのです。
ジークンドーを習っていて分からないことがあったときや、技術上で不安が出てきたときは、再度ジークンドーの
ルーツをリサーチすることです。必ずこれを頭にたたき込み表現できるようになっていけば、自然と道は開かれるでしょう。
以下の写真と解説をよく見て、よく読んで、まず最初に
正しくフォームがとれ、正しく機動できるようにトレーニングを積んでいってください。1にフォームとモビリティ、2にスピード、3にパワーです。フォームと機動能力の正確性と効率性が高スピードと超絶な破壊力を生むのです。他にも重要な項目はありますが、何はともあれ、まずはフォームと機動能力が最重要です。
正しきフォームを身につけることの重要さを師祖は、以下のように述べています。

「動作の損失とエネルギーの無駄を最小限にしたパフォーマンスの目的を満たすには、正しいフォームというものが最高の効率性を扱う方法となるものである。常に正しいフォームでトレーニングすること。」

ちなみに師祖が「Be Formless , like water」と言っていますが、この場合のFormは「形」とは訳さず、「型」「形式」「固定概念」という意味でとらえなければなりません。つまり「Using No Way As Way」のことであって、これは「形式ばった檻から解放されよ」という意味です。水にはその性質上の形が存在します。決して火の形ではありません。そして両方とも形式ばった型というものは存在しません。形(Form)というものはこの三次元の世界で存在し、個々特有の表現をするのに必要なものであり、自然なことなのです。ゆえに、ジークンドーもForm(形)を重要視するのです。
ジークンドーのForm(形)は師祖自らが、長年の研究と努力を費やして創始した
独特のものです。私たちは、このForm(形)を学び修得し、そして様々に変化する状況に個々の表現として正直に表現し、適応させてゆくのです。その表現方法に自由と解放があり、ゆえに「Be Formless , like water」なのです。
決して“形”と“型、形式、固定概念”の意味を混同したり、誤解したりしてはいけません。